どこでも見かける『ゴキブリ』ですが
飲食店などで発生した場合、異物混入、風評被害、健康被害などさまざまな被害を招きます。
たかがゴキブリとは思わず、しっかりとした駆除・予防対策を行っていきましょう。
今回は代表的な飲食店に潜むゴキブリによる3つのリスクとすぐにできるゴキブリ対策をお伝えし今後の対策に役立てていただければと思います。
飲食店のゴキブリの被害その1 ~異物混入~
朝日新聞によると2017年の話にはなりますが約3年間で全国の保健所に約1万4千件あり、このうち4519件は業者の製造過程で混入。
調査によると、飲食店や工場、小売店の食品製造過程で、異物混入が判明したか、可能性が高いものの件数は計4519件あったとのことです。
異物はゴキブリやハエといった虫が最も多い状況です。
保健所に報告された件数だけでも、この件数ですから実際の件数としたら数倍から数十倍の件数となるのは想像がつきます。
ニュースでも取り上げられた『某カップ焼きそば』の例は、皆さんの記憶にも新しいかと思います。
ゴキブリはエサを求めて食材や食品に近づき、ゴキブリにとって最高の環境が整っている飲食店や食品工場などは絶好の棲家となってしまいます。
ゴキブリの駆除・予防対策を行っていない、または対策を行っていても効果が不十分な飲食店や食品工場などでは、食材・食品は常にゴキブリが異物として混入するリスクと隣り合わせであることがわかると思います。
飲食店のゴキブリ、リスクその2 ~不快感・風評被害~
例えば記念日に予約し楽しみに訪れたレストラン。そんな時にゴキブリのフンや死骸、あるいはゴキブリ自体が目についてしまったら。。。
その場で店員さんに言える方もいらっしゃるとは思いますが、なかなか言えない方も多いのではないでしょうか?
店員さんに言う言わないは、ひとまず置いておいて。
いくらこのレストランの料理がおいしかったとしても大半の方が『次回、ここはやめておこう』となってしまうでしょう。
このように顧客に対して不快感を与えることは言うまでもありません。
また、こうした状況はSNSでの悪い口コミの拡散などによるを招き、結果として大きな経済的損失につながる可能性も否定できません。
場合によっては、クレームのみならず、保健所の立ち入り検査や営業停止の処分にまで発展するリスクがあります。
飲食店のゴキブリ、リスクその3 ~細菌・ウイルスによる健康被害~
ゴキブリは下水やゴミ溜まり、清掃の行き届かない狭い箇所などの不潔な所を巣として生息します。そして、生息箇所と食品、食器など厨房内のいたるところを移動します。
ゴキブリは様々なウイルスや菌を持っていおり、食中毒を引き起こすサルモネラ菌やチフス菌や大腸菌、消化器系感染症の病原細菌、などを媒介し健康被害を引き起こさせる可能性があります。
また、ゴキブリのフンや死骸を吸い込んでしまうことで体内に取り込まれ喘息やアレルギーの原因となることが確認されています。
飲食店はどうしてゴキブリが侵入・発生しやすいの?
飲食店ではゴキブリが侵入・発生するリスクが一般家庭に比べ非常に高いです。
それはなぜでしょうか?
いつも暖かい(温度)
ゴキブリにとっての適温は25℃前後です。飲食店は熱を持つ厨房機器類も多くゴキブリが住み着くのにちょうどいい室温です。
また地下の店舗では、外気の影響を受けにくく冬場でも暖かいという店舗も多いためゴキブリにとっては飲食店の中でも特に住みやすい場所となります。
暗く大好きな隙間が多い(隠れ家)
厨房には什器の隙間など、住み着きやすい暗くて狭い格好の棲家となる所が数多くあります。
冷蔵庫や食洗器などのモーター部分は冬場も暖かく特に住み着きやすい場所となります。
餌が豊富にある(餌)
雑食性のゴキブリにとって、飲食店はまさに天国。食べ物のいい匂いに誘われて侵入し、住み着きます。
水がどこにでもある(水分)
厨房ではシンクや排水溝、冷蔵庫の排水など水の使用や場所が多く、ゴキブリが好む水分が常にある状態です。生きていくために必要な水がすぐに摂取できる環境です。
侵入しやすい・運ばれやすい
出入り口や換気扇、排水口など、侵入しやすい経路が数多く存在します。
テナントであれば上下階の店舗で発生しているようであれば壁や配管を伝って侵入することもあります。
また、荷物で運ばれてくる段ボールなどに紛れて人の手で運ばれてくることもあります。
このように見てみるとゴキブリが発生しやすい4つの要素がすべて揃っており飲食店はゴキブリにとってとても居心地のいい場所というのがわかるかと思います。また一般家庭より人の出入り、モノの出入りも多いことも発生の多さと関係があります。
これらの要素を可能な限り、いかに取り除いていくががゴキブリ予防対策にとても重要となります。
ここまでゴキブリが発生した場合のリスク、発生するリスクの高い環境をご説明してきましたが、具体的に何をしたらいいの?
という方は、まずは以下を参考に対策してみてください。
まずはここから!飲食店 自分で出来るゴキブリ対策
飲食店のゴキブリ対策は何をすればいいの?
飲食店は、家庭と比べ食材の使用量も多くゴキブリの侵入リスクが数多くあり、厨房機器は常に暖かくゴキブリにとって最高の環境です。
そのため、「掃除」だけではもう一歩足りません。
以下の注意点を参考にしてください。
飲食店のゴキブリ対策1. 整理整頓 食材保管場所と段ボールの注意点
- 食材保管について
玉ねぎなど常温保管可能な食材だからと言って店の外や店内に出したままにしていませんか?食材を放置しておくと、匂いを嗅ぎつけゴキブリなどの害虫が寄ってきてしまったり、格好のエサとなってしまいます。
常温保存ができる食材であっても、害虫の食害に遭わないように冷蔵庫や食料保管庫の中に保管しておいたほうがいいでしょう。
以下の食材は特に注意が必要です。
- 砂糖
- 油
- ビール
- 肉
- チーズ
- ネギ類
この中でもネギ類の匂いはゴキブリを引寄せてしまいます。たとえ、常温保存ができる食材であっても、害虫の被害に遭わないように冷蔵庫や食料保管庫の中に保管しておいたほうがいいでしょう。
- 段ボールはなるべく店内に持ち込まない!
仕入れの際よく使用される段ボール。
仕入れた荷物は早めに中身を取り出し冷蔵庫やのプラスティックケースなどに移し替え段ボールはできるだけ店内に入れず早めに処分しましょう!
段ボールは、輸送の段階で様々な場所に置かれ運ばれてくるため、決してキレイな状態とは言えません。
また、ゴキブリにとって格好の棲家となりますので中に入り込んで運ばれてくることも多々あります。
なかには、よく飲食店で段ボールを書類や器具などの収納用に再利用しているところを見かけることがありますが店内に段ボール置いておくことは、ゴキブリに巣を提供しているようなものです。
実際に巣になっている場面もよく見かけたりもします。
なので、届いた荷物の段ボールは中身をすぐに出して早めに廃棄しましょう!
飲食店のゴキブリ対策2. 清掃 グリストラップと厨房機器下
- グリストラップの定期清掃
グリストラップは、飲食店の厨房の排水溝には、調理で出てくる「油」をそのまま下水に流さないようにするために設置されています。
このグリストラップは、定期的な清掃が必要です。飲食店で提供する料理の種類によりますが、多い場合で毎週、月1回、2ヵ月に1回など状況に応じて清掃が必要です。
グリストラップを掃除しておかないと、ゴキブリがよってくるだけでなく、油や食材残渣が腐った腐敗臭が発生し、お店の営業に支障が起きることもあるので定期的に清掃しておきましょう。
- 厨房機器下のゴミだまり
ゴキブリ対策での清掃で忘れてはいけないのが、冷蔵庫などの厨房機器下のゴミだまりです。
営業中に床に落ちたゴミが忙しさのあまり拾われず放置されたり、床を水で流す清掃を行った際に蓄積されたゴミなどが下に入り込んでしまい気付かないうちに機器類下に溜まってしまっていることがあります。
そのまま放置されているとグリストラップ同様に悪臭の原因になったり、そのゴミだまりにゴキブリが住みついてしまうことがよくあります。
見えにくい場所で湿っていることも多くゴキブリにとってはここも、とても居心地のいい場所となります。
もしゴミが溜まっているようでしたら、箒やデッキブラシなどでかき出しすると良いでしょう。
要チェックポイントです!
飲食店のゴキブリ対策3. 開放部の対策
- 入口や裏口のすき間や換気扇、窓などの開放部にも、ゴキブリの侵入を防ぐ対策が必要です。
店内の常に開放状態にある部分には、何かしらの侵入防止策を心掛けましょう。破損してしまった店内の壁などはテープやパテなど、場合によってはプロに依頼しましょう。常に開放状態の換気扇には害虫・獣侵入防止用のカバーを取り付けましょう。
入口のドアや窓などに隙間があるようなら隙間テープなどを使うことでゴキブリなどの害虫を防ぐことができます。
また、店舗の事務室や休憩室の窓やトイレなどの小窓も、開けっ放しを禁止にするだけでなく、ゴキブリが飛来してこないようにしっかりと網戸を付けておくと安心です。
コロナ対策での換気の際も虫の侵入の心配がありますので、網戸設置がおすすめです。
- エアコンの配管部分やドレンホースも注意が必要です。
エアコン設置工事の際、パテで壁面がしっかりと塞がれているかチェックしましょう。
ドレンホースからもゴキブリが侵入してくることがあります。
ホームセンターやネットショップなどでドレンホースからのゴキブリの侵入を防げる防虫キャップというのも売られているのでおすすめです。
飲食店のゴキブリ対策4. 市販の駆除剤や捕獲シート
ここまで紹介した対策をしていても、ゴキブリの幼虫であれば天井や壁などの数ミリの隙間があれば侵入できてしまいます。また、お店に入ってくるお客さんや荷物の隙間に紛れてゴキブリが侵入してくることもあります。
そういった防げない侵入に対しては、市販のスプレー剤や毒エサ剤(ベイト剤)、捕獲シートを設置してゴキブリ駆除をする必要があります。
くん煙剤などを使って一気に駆除したいという人もいますが、くん煙剤を使うと店内の煙感知器が反応してしまったり、成分が食材、食器類についてしまうこともありますので使える場面が限られてくるでしょう。
さらに、くん煙剤を使うとゴキブリが嫌がってお店の外に移動してしまい近隣に迷惑を掛けてしまうこともあるので注意が必要です。
飲食店のゴキブリ駆除はプロの業者に依頼する選択も
ここまで飲食店でできるゴキブリ対策をご紹介してきましたが、これらは食中毒の防止対策にも通じるものですのでできていないところがあれば是非参考にしてみてください。
しかし、飲食店を経営するにあたってゴキブリやその他害虫、ネズミなどばかりに気を使ってられないというのが現実ではないでしょうか?
そんな場合はプロのゴキブリ駆除業者に依頼するというのも総合的なコストを考えたときに賢い選択となるかもしれません。
ゴキブリによるリスクと対策のまとめ
飲食店、食品事業者の方からするとゴキブリ1匹で事業が立ち行かなくなる危険性もゼロではないということがおわかりいただけたのではないでしょうか?
2021年6月に改正された食品衛生法によりHACCPの考えを取り入れた衛生管理の制度化もそれだけにはとどまらず消費者の『食の安全』に対する意識は年々厳しくなってる現状です。
こうしたなかゴキブリや害虫・獣に限らず衛生リスクをできるだけ減らしていくことが求められます。
これを機会に店舗での『衛生管理』を見直し、より安心で安全な食の提供を推進いただければと思います。
役職
ダスキン名古屋千成通店 支店長
害虫駆除歴
20年
資格
JHTC認定 HACCPコーディネーター
ターミニックス事業部 社内ライセンス全て取得
一般のご家庭から食品工場まで、20年以上に渡り害虫駆除の取り組みまた数多くの現場で経験を積んでまいりました。どんな現場であっても対応いたします。
経験と実績のダスキン東寺尾支店・ダスキン名古屋千成通店にお任せください。